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マンドリンアンサンブルのための「カヴァティーナとロンド・カプリチオーソ」

(1990)
二橋 潤一
Junichi Nihashi (1950 Hamakita)

 作者は静岡県浜北市出身。浜松信愛学園高校(現・浜松学芸高校)から東京芸術大学作曲科へ進む。卒業後渡仏し、パリ国立音楽院入学。和声法科、対位法科をプルミエ・プリ(首席)で修了し、作曲、音楽理論をオリヴィエ・メシアン、アンリ・シャラン、ベルナール・ド・クレッピ、池内友次郎、宍戸睦郎、矢代秋雄の諸氏に学んだ。
 マルセル・ジョセ国際作曲コンクール第1位受賞、ル・アーブル国際作曲コンクール第2位受賞、武井賞受賞。作品にはオペラ「三郎信康」、「ギター協奏曲」、吹奏楽のための「寿歌」、ギター四重奏のための「残像」等がある。マンドリンオーケストラ楽曲も多く、代表曲は
 ・マンドリンオーケストラのための『妖精組曲』
 ・マンドリンオーケストラのための『ロココ組曲』
 ・マンドリンオーケストラのための『ディヴェルティメント』
 ・マンドリン・アンサンブルのための組曲『北の大地にて』
など。
 桐朋学園大学、洗足学園大学非常勤講師を経て、現在北海道教育大学釧路校助教授。2006年5月、日本ギター合奏連盟会長就任。

 本曲は1990年、奈良女子大学ギターマンドリンクラブ第21回定期演奏会にて委嘱・初演された。二橋氏のマンドリン楽曲は小規模な楽章からなる組曲形式の作品が多いが、この曲も曲名の通り「カヴァティーナ」と「ロンド・カプリチオーソ」をその名に冠した2つの楽章からなる。
 叙情的な旋律を主体とし、ギターのトレモロの上を覆うマンドリン属の五月雨のような旋律が印象的な第1楽章と、快活な主題と和声の移行が特徴的な第2楽章の対比が鮮やかである。
 特に第2楽章は、氏の楽曲の特色である跳躍的な転調が随所に用いられ、演奏する側としてもともすれば振り落とされてしまいそうなスリルがあるが、お聴きいただく際にも、この和声の移行の絶妙さを感じていただければ幸いである。
 なお、本曲は初演後、打楽器の追加・第二楽章の大幅見直しなどが行われているが、本日は作者の了承の元、初版楽譜を使用して演奏する。

第35回定期演奏会より/解説:ウチダ