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宗教的旋律「幻影」

VISION, Melodie Religieuse
エドアルド メッツァカーポ
Edouardo Mezzacapo (1890s~1942)

 作者はイタリア出身のマンドリニストで19世紀の末にフランスのパリに出てマンドリンの教授と作曲で活躍した。一時期はイギリスのロンドンに渡ったが、1912年にはパリに戻り、音楽学校の教授やマンドリン合奏の指揮を行ったという。マンドリンのために多数の作曲があり、本邦でも「アンダンテとポロネーズ」や「マンドリニストの行進曲」などが親しまれている。
 本作の楽譜には”Hommage a Madame la Princesse A. de BROGLIE”と書かれており、アルベール・ド・ブロイ公爵(ド・ブロイ波で著名なルイ・ド・ブロイの祖父にあたる)の夫人(1825-1860)への敬意をこめて作曲されたと推察される。楽譜はフランスのJ. Rowiesから出版されており、カタログには作者のマンドリン曲が数十曲にわたって掲載されている。いずれもマンドリンとピアノ(またはハープ)、またはマンドリンとマンドラとギターという編成あるいはそのサブセットで演奏できるように構成されていたようである。本日の演奏では、四部合奏版を元に松本譲氏が低音部の補筆を行った版で演奏する。
 本曲はロ短調の緩やかな主題とやや前進感のあるト長調の中間部からなる三部形式による。曲の最後では主題は長調に転じて、宗教的な救済を受けて曲が閉じられる。小品ではあるが、丁寧に構成された佳曲である。

参考文献:
 中野二郎著「いる・ぷれっとろ」http://homepage1.nifty.com/yasu-ishida/ILPlettro/ILP-Framemain.htm
 IMSLP, Petrucci Music Library 内のMezzacapoの項目http://imslp.org/wiki/Category:Mezzacapo,_Edouardo
 ※Wikipedia 英語版 http://en.wikipedia.org/wiki/Eduardo_Mezzacapo では、生没年が1832-1898とされている。

第42回記念定期演奏会より/解説:Kiyota