「麗しきイタリア」序曲
LA BELLA ITALIA,Sinfonia
作者ジェムメについては残念ながら詳しい経歴は解っておらず、19世紀末にイタリア軍楽隊長を務めていた際に本曲が作曲され、ソルモーナの長官アントニオ・ドット・デ・ダウリに恭しく献げられている。19世紀末当時のイタリアといえば統一運動によってイタリア王国が成立され、さらなる領土拡大を図る為にエチオピアへと侵攻を進めていた時代である(第一次エチオピア戦争)。本曲は第一次エチオピア戦争がイタリア王国の敗北によって終戦を迎えた1896年に出版されており、戦争に破れはしたがイタリア王国軍が故郷の為に進撃を続ける際の行進曲として作られた意味合いが強いように思われる。
本曲の原譜は吹奏楽編成によって作曲されており、中野二郎氏によってマンドリンオーケストラへと編曲された。楽曲構成は大まかに急-緩-急によって形成され明朗快活なイタリア風序曲として作曲されており、緩部分のLarghetto Sostenutoで奏でられる情緒溢れる旋律はイタリアの美しい風景を思い浮かべる事が出来る。
本曲を通じて作曲された当時の時代背景や、現代も中世以降の歴史的建造物が残るイタリアの美しさを少しでも感じていただければ幸いである。
参考文献:
中野二郎著「いる・ぷれっとろ」http://homepage1.nifty.com/yasu-ishida/ILPlettro/ILP-Framemain.htm
第42回記念定期演奏会より/解説:Taniguchi