ト調のシンフォニア
Sinfonia in Sol (1939)
アルリーゴ・カペルレッティ 作曲/中野 二郎 編曲
Arrigo Capelletti (1877.1.16 Como〜1946.10.16 Como)

 作者はイタリアのコモに生まれ、同地に逝いた斯界の至宝的作曲家の一人。同地の音学院でポッツォーロ教授よりピアノ、オルガン、対位法といった基礎を学び、ボローニャのフィラルモニカではピアノと作曲法を、ミラノのヴェルディ音楽院では吹奏楽、オルガン、合唱といった課程を次々と卒業した。経歴からも推測できるように多様なジャンルに作品があるが、特にオルガン作品を得意とし、コモのフェデーレ教会のオルガニストにもなり、各地のオルガン曲コンクールでも度々入賞したという。また宗教音楽のジャンルこそが作者の本領を最も発揮した分野であったとの指摘もあり、そうした分野での作品の発掘も待ち望まれる。また、生地コモの山々をこよなく愛し、かなり距離のあるミラノのスカラ座まで歩いて通ったという。斯界では同地の伝統あるマンドリン合奏団である『チルコロ・マンドリニスティカ・フローラ』の指揮者として活躍し、U.ボッタキアリも同団のタクトをとった事から親交が厚かったという。(この伝統ある合奏団はそののち、かのU.ゼッピに引き継がれ繁栄した)
 本曲は1939年に出版された管弦楽曲で上記ミラネージの作品と同様、岡村光玉氏がカペルレッティの孫から手写譜を譲りうけて、中野二郎氏が編曲したものである。情感豊かで作者の特徴である低音部が引き締まった構築感ある第一楽章と、単調なアレグロの2つの楽章からなっているが、この両楽章間のバランスはお世辞にもいいとは言えず、かろうじて終結部のGrandioso が充足感を高めている。同じ作者の管弦楽作品には松本譲氏が編曲した『交響的間奏曲』などもあるが、あまりマンドリンオーケストラへの編曲が生きているとはいいにくく、対位法に長けた作者の管弦楽作品の編曲にはマンドリンオーケストラでは「色」が不足していると思われる。本日の演奏ではそうした「色」を演奏で補足することに努力してみたいと考えている。

第27回定期演奏会より/解説:Yon


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