序曲『ラ・ペザレーゼ』
"La Pesarese" Sinfonia
ジュゼッペ・フィリッパ 作曲/中野 二郎 編曲
Giuseppe Fillippa

 作者は斯界ではよく知られた作曲であるが、生没年ともはっきりしない。次男のヴィットリ オが1895年に吹奏楽法のディプロマを得ていることや、1897年に代表作とも言える「バッカスの凱旋」がA.Lapini社から出版されている事などから推測すれば、1800年代中期の生まれであろう。生まれはマルケ州ペザロと思われるがこれも確かではない。1883年から1905年までペザ ロ市のロッシーニ音楽院でトランペットとトロンボーンの教授をしていたといい、前述した次 男のヴィットリオも同時期に同音楽院に在学していた事からヴィットリオは父から学んだかも 知れない。

 作品は、出版されたもの、マニュスクリプトで残されたものともバンドの為のもので、その 多くが中野二郎氏、あるいは松本譲氏によってマンドリン合奏に編曲されている。よく知られ た曲には「怯える小鳥」「還俗修道士」などのポルカや「四旬節の謝肉祭」「バッカスの凱旋 」などのような叙景的な作品がある。いずれも明朗で軽快な作品で、叙景的な作品は「お祭り 騒ぎ」といっても過言ではない破天荒なものである。

 本曲はその所以も明らかとは言えないが、生地ペザロあるいはそこに住む人々や文化などを 讃えたものと思われる。二小節の太鼓連打で豪快に始まって重々しい序奏部と華やかな 6/8拍 子のAllegrettoとの対比が楽しい。いずれも民謡風のメロディで美しく耳に馴染みのよいもの であろう。大きな盛り上がりを見せた曲は冒頭主題を再現しつつAllegro Vivoで軽快に結ばれ る。イタリア的なあまりにもイタリア的なお祭りの曲である。

第29回定期演奏会より/解説:Yon

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