マンドリン四重奏曲第1番より第1楽章(初演)
(1997)
酒井 国作

 作者は名古屋大学でギターマンドリンクラブの指揮者を務めた後、愛知県立芸術大学に進み、同大学院作曲専攻過程終了。学生時代より帰山栄治氏の作品の初演を手掛けるなどして頭角を現し、現在は作曲活動の傍ら、名古屋マンドリン合奏団指揮者として、国内の他、ソ連(当時)、中国でも公演を行っている。作品は初期には帰山栄治氏の影響を強く伺わせるものであったのだが、その後は独自色を強め、厳しい響きの中に透明感を感じさせる作品を生み出している。代表作には、序曲「平成」、「光彩」、「風籟」、「水影(来年度定演にて演奏予定)」「焉」などがある。
 本曲はノリノリな演奏スタイルで毎年のアンケートを賑わす当団の名物ベーシスト戸田氏の委嘱によるもので、本来3つの楽章からなるが、本日は都合により、第1楽章のみを演奏する。第1楽章はソナタ形式で、半音階的な第1主題と調性のはっきりした第2主題を中心に、展開部ではその転回形と第1主題をモチーフにした対位法的展開がみられ、再現部からコーダに至る伝統的な様式に依っている。

【委嘱者の言葉】
 Mn1,Mn2,Mandola,MCの編成では作曲者の本格的な初めての作品です。作曲者はこの編成に可能性を感じたので、あえて「第1番」という表現をしたのだろうと思います。
 この作品では氏の自由な発想から離れ、伝統的な形式を踏襲しているかに見えますが、この混沌とした現代の中で、古き良き形式の中で、作者らしい語法を使いながら、作曲者自身を表現したものに他ならないと思います。

'97 ウィンターコンサートより/解説:Yon


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