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交響的序曲ホ長調

Sinfonia - Ouverture in Mi maggiore (1878)
マルコ・エンリーコ・ボッシ 作曲/石村 隆行 編曲
Marco Enrico Bossi (1861.4.25 Salo 〜 1925.2.20 Atlantic Ocean)

 作曲者はイタリアの作曲家、オルガニスト、ピアニスト。 著名な音楽一族に生まれ、父ピエトロ、兄レンツォ、弟コンスタン・アドルフォはいずれも作曲家である。 音楽の基礎を父に学んだ後1871年からボローニャ音楽学校で学び、1873年からミラノ音楽学院でポンキエッリらに師事した。 生地のサロはかのB.ムッソリーニが第二次大戦において、イタリアが降伏後も政権をおいて連合国と戦った事でも知られる、ガルダ湖西側の風光明媚なリゾート地である。1881年よりコモ大聖堂のオルガン奏者として奉職した後は、ナポリ、ヴェネチア、ボローニャ、ローマなどの音楽院で校長を歴任。アメリカへの演奏旅行からの帰国途中、船上で客死した。

 オペラの完成作品はわずかにとどまるが、19世紀から20世紀にかけてのイタリア音楽界でオペラ以外の分野の復興に努め、演奏家としても当時最高のオルガニストとして知られた。 代表作にオルガン曲「ト短調スケルツォ」、カンタータ「カンティクム・カンティコールム」、オルガン協奏曲などがある。管弦楽作品には本曲以外に、「ゴルドーニ風間奏曲」や、ベルリンフィル時代のA.ニキシュに献呈された「交響的組曲」などがある。

 本曲は作品番号1番が与えられており、作者の最初期の作品である。習作的な雰囲気の残るところもあり、若干17歳の頃の若書きでもある事から、後年のオルガン作品に見られる深遠さや、堅固な構築美はまだ微塵も伺われないが、メロディの清涼さや簡潔な形式が一服の清涼剤となるような作品となっている。 sinfoniaもouvertureも序曲の意味をもつため、原題にどの程度交響的の意味がもたせられているかは難しいところである。

 曲はMolto Sostenutoの序奏とAllegroの主部、Prestoのフィナーレからなる。 序奏は複付点の動機(主部では付点の動機に変化する)が特徴的な前半と流れるような旋律の後半の2つの部分からなる。 主部は2つの主題とその再現からなる2部形式。両主題とも提示は属調、再現は主調である。 主部における第1の主題は序奏の2つの部分の動機を用いており、またフィナーレは主部の第2の主題を用いたものである。 主部にあえてソナタ形式を用いていない事を併せて考えると、2つの主題間に主従の関係をもたせず第1の主題から第2の主題への交代を描いた楽式と捉える事ができる。

参考文献:
 ニューグローヴ世界音楽大事典(講談社)
 新訂標準音楽辞典(音楽の友社)
 演奏家大事典(音楽鑑賞教育振興会)

第37回定期演奏会より/解説:kiyota/Yon