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the seventh islands

the seventh islands(2002, 改訂2006)
遠藤 秀安 作曲
Hideyasu Endo(1970 Nagoya〜)

 作曲者は名古屋市生まれ。愛知県立大学のギターマンドリンクラブに所属し、卒業後、保育士、学童保育指導員を経て、愛知県立芸術大学音楽学部作曲専攻を卒業した。越野宏之、寺井尚行の各氏に師事。2008年より愛知県立芸術大学非常勤講師の職についている。
1999年「マンドリンオーケストラの為の『懶(らん)』」で日本マンドリン連盟の第6回マンドリン合奏曲作曲コンクールで第1位を受賞した。
マンドリン合奏のために多く作曲および編曲を行っており、作曲作品としてSpica’s SpankerやAQUA EXPRESSなどがある。

―作曲者記―
 「the seventh islands」は、あえて訳すならば「第7諸島」でしょうか。
曲の中には「7」がちりばめられており、構成も7つに分けることができます。
まず、ゆったりと音の群れが流れていき、日の出とともに島の遠景が浮かび上がります。
次にリズムを刻み始めたところで人々の暮らしが始まり、普段と変わらぬ一日が過ぎていきます。
夕暮れの景色は、少し切ない気持ちを呼び起こし、
陽気なシチリアーナでは、のんびりとした休日が描かれます。
その後、ギターのdiv. によって夜の帳が降りて、
続くコントラバスのメロディが夢の世界へと誘います。
そしてフィナーレとなり、見知らぬ島への旅は終わります。
日常とは少し離れた時間の中に、それぞれの楽園を想い、楽しんでいただけたら嬉しく思います。
(名古屋大学ギターマンドリンクラブ第49回定期演奏会プログラムより)


 本曲は京都教育大学マンドリンクラブの委嘱により2002年に作曲され、2006年に名古屋大学ギターマンドリンクラブでの再演にあたり改訂された。7という数字をキーワードに作曲され、旋法の7つの音、7拍子、メジャー7thの和音などの7に関連した音楽要素が盛り込まれている。
曲は冒頭コントラバスによって提示される旋律を中心的な主題としながら、作曲者記にある7つの部分からなる接続曲風に構成されている。様々な要素が詰め込まれているこの曲は、おもちゃ箱をひっくり返したように次々と現れる展開が各々関連性が無いようでいて、7というキーワードで繋がっている点やフィナーレでこれらのエピソードがエンドロールのように俯瞰される点が実に楽しい
。複雑な中にも透明感を感じさせる筆致はシンプルにして他には無い得難い響きを獲得しており、濁りをもつ大栗の音楽の対極と言えるだろうし、対位法的な旋法の扱いはボッタキアリの和声的なそれとの違いを楽しませるなど、本日のプログラムの他の曲との聴き比べも面白い。

参考文献:
 遠藤秀安氏のホームページ
 名古屋大学ギターマンドリンクラブ第49回定期演奏会プログラム

第38回定期演奏会より/解説:kiyota