Impression1999
(1999)
舟見 景子
Keiko Funami( 1959.4.28 Ishikawaken〜)

 作者は富山大学マンドリンクラブでマンドリンパートに所属。卒業後約10年のブランクを経て、現在「金沢マンドリン・アンサンブル」に所属。数年前より映画音楽などのマンドリン合 奏への編曲を手がける。

 本作は作者の処女作で、1997年より書きためられたモチーフをまとめたものである。躍動感にあふれ、魅力的なモチーフがぎっしりつまった新鮮な果実というところか。特徴的な主題提示部のリズムと、中間部の優しい女性らしい美しいメロディとの対比は吉水秀徳氏の「2つの動機」を初めて聞いた時の感動と同じものである。殊にギターのアルペジオに乗って紡ぎだされる緩徐部の旋律は「素直に感動できる」、ともすれば我々が忘れてしまいがちな「音楽する喜び」「合奏の楽しさ」を再認識させてくれる宝物のような存在である。新たな同時代の才媛の誕生をここに祝福すると共に、氏の今後の作品に期待したい。本曲もまだ初演以来山口で一度演奏されたのみと聞く。学生諸君の若々しい推進力ある演奏をも期待したい。

【作曲者による曲目解説】

 数年来、いくつかのマンドリン編曲を担当しながら、いつかは自分の曲を作ってみたいと思ってきました。ふと思いついた旋律とリズムのモチーフがどんどん膨らんでできたのがこの曲ですが、楽譜が仕上がるまでに2年かかりました。こんな形で夢が実現して今は正直嬉しいです。大きな壁を感じるときってありますよね。その前で葛藤し、試行錯誤してあがき、時には打ちひしがれそれでもどこかで前進を渇望している・・・ この曲にはそんな焦燥感があらわれているようです。変拍子風のリズムや中間部の繊細さから、心の揺れを感じ取っていただければ幸いです。更にエンディングには明るい力強さが響くことを望みます。

 曲全体として私の好みの音がよく反映されていますが、長年親しんできたマンドリン音楽の エッセンスが基調に流れていると思います。いつも支えてくれた仲間達、この曲を育ててくれた仲間達に感謝しつつ、これからも好きな曲作りを続けていきたいものです。

第29回定期演奏会より/解説:Yon


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