「フーガの技法」
"Die Kunst Fuge"BWV.1080〜Contrapunctus I〜III (1751)
ヨハン・セバスティアン・バッハ
Johann Sevastian Bach

 作者はいわずと知れた『大』バッハであり、 200年に渡り音楽家を輩出したバッハ一族の頂点に立つバロック音楽最大の大家である。教会オルガニスト、宮廷楽長、作曲など多方面での活躍は多くの人の知るところである。作品も歌劇以外のあらゆる分野に作品を残し、その数は千を越えている。
 『フーガの技法』は作者最後の作品として知られており、現存するバッハの『自筆譜』とバッハ自身による版下を基に1751年に出版された『初版』とでは曲順や細部に相違が見られる。どちらがバッハの最終的な意図を表しているかは諸説があるが、一般的には『初版』が選択され演奏される事が多い。
 フーガとは一つの主題を、後続する他の声部が追いかける形式の曲をいうが、本作においてはそのフーガの様々な形態が示されており、ニ短調の単純な主題から18曲が生み出されている。対位法(コントラプンクトゥス)の1〜4は、主題をそのままの形で追いかける基本形の「単純フーガ」と、主題の音形を上下反転させた転回主題による「転回フーガ」から成っている。この後にはより複雑なフーガやカノン、遺作となった3重フーガが続き、大作を形成している。また本曲では18番以外は楽器が指定されておらず、クラヴサン、パイプオルガン、弦楽、ピアノ等様々な形態で演奏されているが、研究者によれば、鍵盤楽器が有力とされている。本日は対位法の1〜3をギター四重奏で試みる。

'97 ウィンターコンサートより/解説:Yon


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